有吉 昨年は11月にイスラエルの国際大会で個人総合優勝。結果を出しましたね。
藤岡 有吉先生を始め、私をトレーナーとしてサポートしてくださっている浅沼さん、皆様のおかげです!
有吉 「世界でも類を見ない芸術的で独創的な作品」と称されました。2年前はマルタの国際大会でも優勝。世界で評価されています。
藤岡 「魅せる新体操」を目指していますので、そのようなお言葉や評価をいただけると励みになります。
有吉 一昨年、ルールが改正されて、魅せる新体操を目指しにくくなりましたね。
藤岡 踊りより技、美しさより確実さが重視されます。
有吉 技を詰め込んだ方が点数が高くなりやすい傾向にあります。ともすれば、皆、同じような演技に見えてしまう危険性も伴うのですが。
藤岡 私は踊りと技を何とか両立させたいと考えています。やはり観客を魅了してこその新体操ですから。
有吉 勝負にも表現にもこだわる新体操を叶えるためにポールでのトレーニングなど色々試してきましたね。
藤岡 技についてもミスしないことに意識が向くと見た目が崩れやすいのですが、そこも美しさを求めたいです。
有吉 とても高い理想ですが叶えられる技術と身体は持ち合わせていると思います。
藤岡 コンディショニングのおかげです。有吉先生や浅沼さんから正しい身体の使い方を学べましたから。
有吉 今、一番コンディショニングを理解している新体操選手だと思います。
藤岡 正直、大学1、2年生の頃は、よく分かっていませんでした…。本気で取り組み始めたのは3年生の時。
有吉 ケガがきっかけでした。
藤岡 それまで一切ケガしたことがなかったのですが、ルルベをしただけでパキっと。立てなくなりました。
有吉 新体操選手の多くはルルベの際「床を掴め」と教わります。指を丸めながら演技するので中足骨の疲労骨折が続出してしまうのです。
藤岡 今は解剖学的な観点で考えられるのですが、その時は分かっていなくて…。混乱していました。
有吉 それからハーフポールを使って正しいルルベの仕方を何時間もかけて練習しました。非常に地味な動きを何度も何度も丁寧に。
藤岡 なかなかできなくて焦燥感が募りましたが、突然「これだ!」と感覚が掴めて。
有吉 私も何とか理解してもらおうと様々な言葉を駆使していたら、ついに辿り着いたのです。「足裏パワーポジション」という言葉に。
藤岡 一番力なく立てるポジション。軸も安定してバランスがとれるようになって。
有吉 NCAでは当たり前となった言葉が生まれたのは里沙乃さんのお陰です(笑)。
藤岡 正しいルルベを身につけたことで、ふくらはぎが全然疲れなくなって。この位置が崩れると、身体のあらゆるところが歪みます。
有吉 他の選手にも教えるのですが、なかなかできない子もいて。里沙乃さんの演技を見て理解するようです。
藤岡 ほとんどの選手が3歳〜6歳の時に新体操を始めるので、長年の癖はなかなかとれないですから…。
有吉 痛み止めを飲んで我慢して頑張る選手が多くいます。全てのスポーツに共通している問題点ですが…。
藤岡 私はケガ以来、コンディショニングに向き合えるようになり、浅沼さんから正しい筋肉の使い方を教わる度に、帰宅後も動きの復習をし、定着させています。
有吉 その成果が身体にでていますから。本当にキレイになりましたよ。
藤岡 本当は子供の頃からコンディショニングを身につけられると良いのですが。
有吉 里沙乃さんが指導者になった時、ぜひ伝えていただきたいですよ。説得力が全然違いますから。
藤岡 講習会の講師をやらせていただく際、子供達に「コンディショニングを知っている人〜?」と聞くと手を上げる子が増えていて!
有吉 貢献していますもの私、新体操界に(笑)。鹿児島、長崎、岩手など、頑張って全国を回っていますから。
藤岡 技講習会が始まる前に指分けしている子達もいて。指導者の理解があってこそですし、本当に良いものでないと広まりませんからね。
有吉 『表現スポーツ』の本はおかげさまで多くの方々から評価をいただけています。
藤岡 本当は大学4年間で納得できる演技をしたかったのですが、それが叶わず社会人2年目を迎えました。
有吉 実力を出し切るためには食も含め、生活全てを整えることが求められます。
藤岡 四年生の時に辞めていればできなかった経験もたくさんあります。秋山先生や有吉先生に今でも指導いただいていることは本当に感謝すべきことです。
有吉 結果も大事ですが試合に向けて全てを研ぎ澄ます感覚を経験して欲しいです。理想の演技のために。
藤岡 現役を続けることは容易くはないですが、とても幸せなこと。今しかできない経験を大切にします。