有吉 まずは平昌オリンピックご苦労様でした。
両角 こちらこそありがとうございます。僕たちにコンディショニングを行ってくれている近藤さんが大会直前の12月にご出産されたことにより、急遽1月に来ていただきましたね。
有吉 そうでした(笑)。近藤加奈子さんは我々NCAのPCT資格を保有するトレーナーです。SC軽井沢クラブの職員としてメンバーを支えています。
両角 佐久平の病院にいらっしゃる頃からお世話になっていて、2015年の10月からコンディショニングを本格的に行ってくれています。
有吉 私が両角選手を始め、チームのメンバーと出会う前から相談は受けていて、アドバイスはしていました。
両角 最初はNCAのポールを贈ってもらいましたね。
有吉 そうそう、清水選手がTVで高梨沙羅さんが使っているのを見て、欲しいと言われたそうで(笑)。
両角 2年前の世界選手権で4位になった後すぐでした。
有吉 贈ったら、写真付きの手紙を送っていただいて。そこからの付き合いですね。近藤さんもトップアスリートを診るのは初めてでしたから。私が処方を出せば、彼女も悩まなくて済むと思い、ここに来ました。
両角 最初のセッションの時は僕、参加できなくて。その後、メンバーに聞いたら「めちゃめちゃ難しいことやった」って、みんな言うから凄く気になっていました(笑)。
有吉 最初にコアトレをした時は、皆様フラフラで(笑)。カーリング選手は、他のスポーツ選手と比べると歪みが少ないのですが、選手によっては足の内反傾向などクセがあって。末梢まで整えないと、と思いました。
両角 僕はチームの選手や相手選手の投げたストーンを見る役回りなので、首ですね。なるべく低い位置から見ようとするので、アゴが出て、円背気味になります。
有吉 最初、両角選手は気軽に自分の身体を触らせないということを知らなくて…。普通にコンタクトをしてしまいました…。
両角 そうでした(笑)。ただ、近藤さんを通してコンディショニングへの信頼はありましたし、自分が感じていた身体の課題を有吉先生にものの見事に言い当てられたので、自然にセッションが始まって。今はシーズン通して首の痛みで調子が崩れることはないですし、上手く投げられなかった時の問題点を身体の面からも感じられるようになりました。
有吉 整った状態を知れば、元ある状態への修正が容易にできるようになります。
両角 実際、インターバルでセルコンを入れるようになり、プレーが安定しました。
有吉 一流選手はやった方が良いことを必ずやります。やれないことの言い訳をしない。長く活躍し続けるには「継続」が重要です。
両角 おかげさまで年々上手くなれていると思います。
両角 長くカーリングをしていると、もう伸びないと感じる時もあります。ここ2年の成長はまさにコンディショニングのおかげです。まだ伸びしろがあるとさえ感じますから。
有吉 ありがとうございます。もちろん、両角選手自体の活躍に益々貢献することは当然ですが、さらにジュニアに落とせたらと思っています。両角選手と組んで伝えていけば、子供達の反応も変わるはずですから。
両角 それは挑戦したいですね。最近の子供達の身体は硬いと思います。それではケガをしやすくなるだけではなく、コーチの望んだ動きができないはずです。技術の習得の前に土台である身体が整っていなければ元も子もありません。
有吉 以前、両角選手がジュニアに教えている様子をTVで見たのですが、片膝立ちができていなくて、フラフラしていましたね。これは他の競技のジュニア選手にも言えることですが…。
両角 だからこそ、身体のプロが必要です。僕ら選手はコンディショニングが良いと思っていても理論立てて説明はできませんから。
有吉 それはメジャースポーツも同じことですね。正しい理論を伝えていかないと。どの競技も技術先行型の傾向にありますが、技術が発展している競技ほど、その傾向は強いと思います。
両角 技術のプロと身体のプロの連携が大切ですね。
有吉 両角選手のご意見はとても貴重です。憧れの選手の口から「身体を整えることが大切」だと話されると、とても説得力が出ますから。
両角 カーリング選手にプラスになると思うので、少しでも多くのチームにコンディショニングが広がって欲しいと願っています。日本全体のレベルが高くなることが一番です。
有吉 強いチームがたくさん生まれ切磋琢磨していくことが大事ということですね。
両角 女子は「4年に一度のブームにしない」と言っていますが、男子は4年に一度必ず出場することが目標です。有吉 そして次こそはメダル!私は叶うと信じています。